アルフォンス・ミュシャのリトグラフ(石版画)

リトグラフとは版画とよばれるジャンルの絵画になります。一般的に絵画と言えば油彩や水彩画などを思い浮かべる方が多いと思いますが、ミュシャの作品は版画のためある程度の枚数(1,000枚など)が製作されました。

よくミュシャのリトグラフは複製なのではないか、と聞かれることが多いですがこのことは半分は正しく半分は間違っていますので注意が必要す。

リトグラフだから複製の偽物だ!と思ってしまうとせっかくの貴重な作品を手にするチャンスを逃してしまいますし、リトグラフだから当時の物で本物だ!と思っていますと今度は偽物をつかまされてしまします。

ではどういうことかと言いますと、まず大前提として皆さんがしっているミュシャの有名な作品はリトグラフという版画である程度の枚数が製作されているということです。これらの作品は1枚しかないと思っている方がいますが、そのようなことはなく例えばミュシャの代表作である「夢想」などはイギリスのヴィクトリア・アルバート美術館や日本の堺市ミュシャ美術館など複数の美術館が所蔵し、一般の画廊などでみかけることは稀ですが市場にも何枚か流通しています。

ミュシャが活躍した1900年頃のフランスでは既存の絵画などに対抗してある程度の枚数が製作される版画で芸術を表現するということが始まります、その中心人物がジュール・シェレやトゥールーズ・ロートレック、アルフォンス・ミュシャとなり、彼らの代表作の多くは版画として製作されました。そのため元の絵画があり、安価な複製品としてリトグラフが製作されたわけではありませんので注意が必要です。

そもそもリトグラフとは厳密には、印刷の製版技法のことで印刷された物のことではありません、しかし後年になり日本ではリトグラフを印刷物もしくは複製品として用いることが一般的になったためややこしいことになります。そのため前述した「ミュシャのリトグラフは複製なのか」ということにたいして半分は正解で半分は間違っているということになります。後年にミュシャのオリジナルリトグラフ(ここでは1900年頃にミュシャにより制作されたオリジナル、一般的に本物と呼ばれるもののこと)をもとに、リトグラフの技法を用いて複製したならば、たしかにこれはミュシャの作品のリトグラフでありますが複製と言えるでしょう、また1900年頃にミュシャ自身が新作の版画としてリトグラフの技法を用いて作品を製作したならば、こちらもミュシャのリトグラフということになります。そのためミュシャのリトグラフが複製か否かは、リトグラフという言葉だけでは判断できません。

ではどのように見分けるかといいますと、これは簡単に二つを見比べていただければ一目瞭然なのですが、美術館では複製が展示されることはまずありませんし、お店でも本物と複製の両方が並ぶことはあまりないと思います。ですので本来であれば信頼できる画廊などで聞くか、お求めいただいて比べるのが一番良いのですが、そういうわけにもいかない方も多いと思いますので、簡単な見分け方をお教えいたします。

まず初めに値段です。ミュシャの作品は100年以上前に制作され版画のため枚数が作られたといいましても現存数はそれほどありません、また近年ミュシャの人気は日本のみならず世界的に高まっているため相場を大きく下回る作品はまずありませんのであまりに安い作品には注意が必要です。ここ10年でミュシャの値段は倍以上になってきているのでおそらくみなさんがご存じのようなミュシャの有名な作品で300万円以下はほぼないといっていいでしょう。

2番目に状態になります、こちらも1番目と似た内容になるのですが100年前に制作されたもののため新品同様な作品というのにはとても注意が必要になります、なぜなら版画は状態が違えば、とくに色が綺麗、摺りが良い、余白がのこっているなどで値段の桁が変わるものです。ということはそのような綺麗な状態の物はめったにお目にかかれません。しかしここの違いと相場というのは一般の方にはとても分かりにくいので、あまりきれいな物で値段が安いものには注意が必要だと覚えておいてください。

最後に、「ご自身が気に入ったものが一番良い」ということになります。これは版画とは1枚1枚現存してる作品の状態は異なり、まず同じようなことはありません。色の感じや作品の経年による味の出方など、さまざまに変化することがアンティークの楽しみとも言えます。また飾るとしたら絵画などは気に入った作品でないと飽きてしまいますので、ご自身の用途や目的に合う気に入った作品をお求めいただくのが一番よろしいかと存じます。

リボリアンティークスではミュシャの美術的価値のある本物と呼ばれるリトグラフを数多く扱っております、お探しの作品などございましたら店頭にお越しいただくか、ネットショップ、もしくはお電話にてお気軽にお問い合わせくださいませ。

すてきな一枚が見つかることを願っております。

>美術画廊「リボリアンティークス」

美術画廊「リボリアンティークス」

19世紀の絵画・版画・リトグラフなどアール・ヌーヴォーやアールデコの作品を多数扱っております、JR田町・都営三田駅徒歩4分、札ノ辻交差点角

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