「バスティーユにて」はアリスティッド・ブリュアンが1886年に発表した曲で、自身のお店「ミルリトン」にて発行した歌集「巷にて」(Dans la Rue)にも収録されています。ブリュアンはパリの下町を題材にした歌をよく歌い、この曲以外にも「ヴェルヴィル・メニルモンタン」「サン・ラザールにて」やモンマルトルやモンパルナスなどの歌もあります。
また「バスティーユにて」は人気が高かったのか、1905年には「ニニの歌(娼婦ニニ)」を発表、この女性ニニは「バスティーユにて」のニニが成長し恋人が出来たことを歌っています。
目次
バスティーユにて
作詞・作曲 アリスティッド・ブリュアン 和訳 中村大地
Son papa s’appelle Abraham, Il est l’enfant du macadam, Tout comm’ sa môme en est la fille, A la Bastille. |
父の名はアブラハム 娼婦の息子、彼の娘も同じく バスティーユにて |
A quinze ans a s’app’lait Nini All”tait grosse et grass’ comme un I, A f’sait des travaux à l’aiguille, A la Bastille. |
15歳の時彼女はニニと呼ばれ、 成長し大きくなり 針仕事をしていた バスティーユにて |
Quand alle eût seize ans révolus, A s’app’lait… je n’me l’rappell’ pus, A s’prom’nait autour de la grille, A la Bastille. |
彼女が16歳の時 呼ばれた、覚えていないが 公園の周りを歩いていた バスティーユにて |
On la rencontrait tous les soirs, Parfois l’éclat d’ses grands yeux noirs, Faisaient pâlir la lun’ qui brille, A la Bastille. |
私たちは毎晩会い 時に、彼女のおおきな黒い瞳は 月を輝かせた バスティーユにて |
Maint’nant a sert dan’ eun’ maison Où qu’on boit d’la bière à foison, Et du champagne qui pétille, A la Bastille. |
今では、お店で大量にビールと 泡立つシャンパンを飲んでいる。 バスティーユにて |
Ses tables sont un rendez-vous: Les jeunes, les vieux y vont tous; I’faut voir comme a les étrille, A la Bastille. |
そのテーブルを予約し 老いも若きも皆そこに行く 金を巻き上げられることになるが バスティーユにて |
Mais si ses clients sont nombreux; I’paraît qu’i’s sont tout heureux: Alle est si bonne et si gentille, A la Bastille. |
しかし沢山のお客は とても幸せそうだ 彼女はすばらしく、そして親切だ バスティーユにて |
Pour eun’ thune a r’tit’ son chapeau, Pour deux thun’ a r’tir’ son manteau, Pour un sigue on la déshabille, A la Bastille. |
5フランで帽子を脱ぎ 10フランでマントを脱ぎ 20フランで服を脱ぐ バスティーユにて |
Alle a pas encore eu d’amant, Alle a qu’ son père et sa maman, C’est ell’ qui soutient sa famille, A la Bastille. |
彼女に恋人はいない 父と母のところに行き 彼女が家族を支えている バスティーユにて |
Son papa s’appelle Abraham, Il est l’enfant du macadam, Tout comm’ sa môme en est la fille, A la Bastille. |
父の名はアブラハム 娼婦の息子、彼の娘も同じく バスティーユにて |
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