1896年に描かれたアブサン・ロベット(Absinthe Robette)のポスター。作者は「ベルギーのミュシャ」ともいわれたプリヴァ・リヴモン。
プリヴァ・リヴモン(1861~1936)はベルギー出身の画家で、ミュシャと同じく19世紀末にフランスやベルギーで活躍しました。ベルギーもフランスと同じくアール・ヌーヴォーが流行した国で、リブモンの他にアール・ヌーヴォーの建築家であるビクトール・オルタやアンリ・ヴァン・デ・ヴェルデなどがいます。
このポスターはアール・ヌーヴォーを代表する傑作の一つで、女性が掲げる杯にはアブサンが満たされており、緑色のアブサンが白濁色に代わっていく様を魅惑的に表しています。
アブサンはニガヨモギの成分などを中心つくられた薬草系のリキュールで、アルコール度数は大体が70度前後。19世紀のフランス、特に芸術家たちに愛されたお酒ですが、「アブサン」は中毒症状や幻覚症状が強く現れるお酒としても有名で、多数の中毒者をだしロートレックやゴッホなどもアブサン中毒で身を滅ぼします。沢山の中毒者を出したこのお酒は20世紀に入ると製造が禁止されました。現在はニガヨモギの成分が一定以下ならば製造が解禁されています。