ELDORADO Aristide Bruant dans son cabaret / Henri de Toulouse-Lautrec, 1892
黒マントを翻し、赤いスカーフをひと巻き。
パリの夜をわがものにした男、アリスティド・ブリュアン。
その姿は、画家ロートレックによって永遠のポスターとなりました。
《エルドラド》──
それは、モンマルトルの音楽酒場で鳴り響いた喝采と、芸術と大衆が交差する場の名。
そしてこの作品は、ポスター芸術の歴史を変えた瞬間のひとつでもあります。
1892年、ロートレックはブリュアンの依頼により、このポスターを制作しました。
モデルとなったのは、詩人にしてモンマルトルを代表するシャンソン歌手、アリスティド・ブリュアン。彼がパリ10区のストラスブール通りにあったカフェ・コンセール《エルドラド》に出演するためです。
黒と橙の強烈なコントラスト。観る者を射抜くような横顔。
背後に浮かぶ観客のシルエットは、ブリュアンの存在感をより一層引き立てます。
大胆な色彩分割やフラットな構成は、日本の浮世絵に影響を受けた「ジャポニスム」の潮流にも呼応し、
この一枚がもはや単なる広告ではなく、“芸術としてのポスター”の地位を確立するきっかけとなったのです。
ロートレックが手がけたポスターの中でも、本作は《ディヴァン・ジャポネ》《ムーラン・ルージュ》と並び称される傑作です。
その中でも《エルドラド》は、実在の人物=ブリュアン自身がブランドそのものである点が特異で、
ポスターが「肖像」として機能した稀有な例といえるでしょう。
この作品において、ロートレックは単に人物を描いただけではありません。
見る者に、パリの音楽、酒場の熱気、そして声の響きをも想起させる――
そんな総合芸術の力を宿したポスター、それが《エルドラド》です。
本ページに掲載の《エルドラド》は、1892年当時に制作された正規オリジナルのアンティーク・リトグラフポスターです。
ブールジュリー(エドワール・アンクール工房)による印刷で、紙の質感やマージンの自然な風合い、インクの深みがその歴史を物語っています。
約130×95㎝と大型作品のため額装はいたしておりませんが、ご希望により額装も承っております。
お部屋に飾っていただくことで、まるで19世紀末のパリがそっと時を越えて現れるような空間を演出いたします。
※本作品は特別なご案内品となっており、オンライン上での直接販売はいたしておりません。
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