『写楽改北斎』 仮説・北斎が写楽である可能性が一番高い人物である 中村公隆【研究書】

写楽とは誰だったのか──。
その謎に、「北斎」という答えを投じた一冊。
江戸文化最大の謎、東洲斎写楽。
生没年不詳・活動期間わずか十か月・作品数140点以上。
誰もが名を知りながら、正体はいまだ霧の中。
本書『写楽改北斎』は、「写楽=北斎」説を軸に、絵師の改名、画法、家族の物語、そして江戸文化の構造にまで迫ります。
浮世絵がなぜ生まれ、なぜ愛されたのか──
その本質に触れる、静かなる情熱の書です。
■ 本書の魅力
- 改名と落款に秘められた「空白期」に着目し、「写楽=北斎説」に新たな光を当てる
- 黒雲母摺に込められた父子の物語、「写すを楽しむ者=鏡=写楽」という解釈
- 浮世絵を「芸術」ではなく「江戸の手工業文化」として捉え直す、職人観への深い洞察
- カラー図版7点+北斎落款ごとの代表作など、全56点を収録
“写す”という祈り──写楽と北斎、その交差点
1989年に発行された本書は、日本有数の浮世絵コレクターであり北斎研究家でもある中村公隆による、長年の実見と思索を経て結実した研究書です。
「なぜ写楽はデビューと同時に最高峰の技術で作品を発表できたのか?」
「なぜ版元は実績のない者に、それを許したのか?」
一見偶然とされてきた事実に、実はひとつの論理が通っていた──。
本書では、北斎の改名履歴、画業のブランク、家族関係、宗教観までを丁寧に照らしながら、「写楽」は父としての北斎が、長男に贈った名だったという深い仮説を打ち立てます。
これは単なる絵師の同定ではなく、「名もなき者」たちの仕事が後世に価値を持つこと、そしてそれを見つめる“まなざし”の回復を促す文化論ともいえるでしょう。
江戸職人の誇り、美術の本質、そして父と子の静かな物語が織りなす、珠玉の一冊です。
書誌情報
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | 『写楽改北斎』(仮説・北斎が写楽である可能性が一番高い人物である) |
著者 | 中村公隆 |
発行 | 銀座東京羊羹 |
発売日 | 1989年10月26日 |
ページ数 | 全34ページ(A5判) |
言語 | 日本語 |
収録図版 | 全56点(うちカラー7点) |
内容紹介
目次
【写楽改北斎】で解き明かす、幻の絵師・写楽の謎とは
謎1 なぜ、生まれ・履歴はおろか俗名すらわからないのか?
謎2 なぜ、作画期間がわずか十か月間に限られるのか?
謎3 なぜ、習作期もなく突然に豪華な雲母摺で現れたのか?
謎4 なぜ、突然筆を折ったのか?
謎5 なぜ、版元・蔦屋重三郎だけから作品を発表したのか?
謎6 なぜ、短い十ヵ月間に百四十種もの作品をだしたのか?
謎7 なぜ、海外で世界三大肖像画家と再評価されたのか?
謎8 なぜ、東洲斎写楽と命名したのか?
謎9 なぜ、途中で落款が東洲斎写楽から写楽になったのか?
謎10 なぜ、左手で書いたかのように落款が歪んでいるのか?
謎11 なぜ、写楽はほぼ役者絵しか描かなかったのか?
謎12 なぜ、女形は描いても女性を一人も描かなかったのか?
謎13 なぜ、役者に嫌われてまでリアルに、真を描いたのか?
謎14 なぜ、人気役者だけでなく端役の役者まで描いたのか?
第1章 写楽がなぜ、他の絵師なのか
第2章 なぜ、北斎なのか
第3章 本論 北斎はなぜ写楽と名乗ったのか。
第一節 北斎の改名について
第二節 北斎は絵師をすてている。
第三節 北斎は写楽と名乗った。
第四節 写楽は鏡である。
第五節 写楽は長男の死と共に消えた。






下記のサイトでご購入いただけます。

