「ジスモンダ」はアルフォンス・ミュシャが1894年に描いた、サラ・ベルナール主演の演劇のポスター、中央に描かれている女性がサラ・ベルナールであり主人公である女王ジスモンダを演じています。
絵に描かれたサラ・ベルナールが手にする植物はナツメヤシ(日本では棕櫚(シュロ)とも)の枝で、このことから枝の主日(もしくは棕櫚の日曜日、復活祭の1週間前の日曜日であり、キリストが受難の前にエルサレムに入ったことを記念する日)の場面であることがわかります。
また、この作品はミュシャの特徴の一つであるビザンティン様式を取り入れています。ミュシャといえばアール・ヌ―ヴォ―様式と思われる方が多いと思いますが初期の作品はあまりアール・ヌ―ヴォ―様式というよりはモザイクに代表されるビザンティン様式を随所に取り入れています。
例えばこの作品の題名と劇場名
拡大するとわかりやすいと思いますがタイルを貼り合わせたようなモザイクを用いています。
この方法はジスモンダだけでなく、その他にも「メディア」や「サラ・ベルナール」などにもミュシャは用いています。
ジスモンダ
ジスモンダとは劇作家ヴィクトリアン・サルドゥによる演劇でアテネの女王ジスモンダの恋愛劇、私は実際に見たことがないので内容が同じかはわかりませんが1918年にアメリカでジスモンダは映画化されています、題名は「アテネの夜話 Love’s Conquest」
この演劇は大人気となり翌年にはアメリカにサラは巡業します。その際に使用したポスターが
大まかな違いは画面上部の「ジスモンダ」の文字が無くなり、下部の劇場名が「アメリカンツアー」に変更されています。
特に上部の演目が印刷されていない理由の一つに、会場によって演目が違ったなどが考えられます。
下記は参考イメージですが
このように使用したとも考えられます。実際に当時のパンフレットなどは表紙が同じで中身を差し替えるということはよくありました。
リトグラフはこのように広告物として製作されていますので様々なバージョンがあります。その違いやなぜ変更があったのかなど考えてみるのも面白さの一つだと思います。
ジスモンダの種類
さてアルフォンス・ミュシャの「ジスモンダ」は何種類あるのかということですが、一般的には劇場ポスター用が4種類、愛好家・コレクター向けの版画サイズが2種類、そして当時流行していた絵はがきで2種類製作され、この作品類をアルフォンス・ミュシャのオリジナルとして海外のオークションや画廊では取り扱っていますので、リボリアンティークスもそれにならっています。