アルフォンス・ミュシャが1896年に手掛けたこのポスターは、ラ・プリュム誌が12月15日号にて「サラ・ベルナール」の特集を組むことを告知したものです。実際には編集の都合により12月15日号には掲載されませんでしたが、このポスターは同年同月にグラン・ホテルで開催されたサラ・ベルナールの栄光を讃える「サラ・ベルナールの日」のポスターとしても文字を差し替えて使用されました。
このポスターに書かれている文字は
女性の周囲に
SARAHA・BERNHARDT サラ・ベルナール
と書かれ
左から
LA PLVME(PLUME) ラ・プリュム
du 15 décembre 15日 12月
PVBLIERA VN ARTICLE SVR (PUBLIERA UN ARTICLE SUR)記事を掲載
SARAHA BERNHARDT サラ ベルナール
と書かれています。ここで面白いのはアルファベットのUをVで表していることです。
この時代のポスターにはしばし見れれる書き方でミュシャ以外の画家も使用しています。
また描かれている女性は、もちろんサラ・ベルナールであり百合の冠と格好からもエドモンド・ロスタンがサラの為に書いた戯曲「遠国の姫君」、でサラが演じた「メリザンド」であることがわかります。
こちらはメリザンドの格好をしたサラの写真、百合の冠と服装が似ていることがわかります。
また「遠国の姫君」の劇を豪華挿絵本としてミュシャが手掛けたのが「トリポリの姫君イルゼ」になります。
そのため、描かれている女性もサラ・ベルナールをイメージし同じ百合の冠と服装になっています。
このミュシャが描いたサラ・ベルナールは人気が高くポスター版以外にもコレクター向けにレタリング(文字)を消去したバージョンや
当時フランスで流行していたコレクション向けのポストカードとしても製作されました
女性の背景のモザイクのデザインや冠等の色彩が変更され、サラ・ベルナールの文字は消去されています。
番外
この作品は、ミュシャと同時代のアール・ヌーヴォーを代表する画家ポール・ベルトンが描いたサラ・ベルナールのメリザンドになります。ミュシャが百合の冠を描いたところを、ベルトンは百合の花にて表現しています。