「ニニの歌」アリスティッド・ブリュアン

ニニの歌(娼婦ニニ)アリスティッド・ブリュアン

「ニニの歌」アリスティッド・ブリュアン
「ニニの歌」の楽譜 テオフィル・スタンラン

娼婦ニニ、もしくは、あばずれニニやニニの唄などとも和訳されますが、アリスティッド・ブリュアンの歌の中でも軽快な曲。

初期の頃のシャンソンはエディット・ピアフなどに代表されるようなメロディアスなシャンソンではなくどちらかというと詩の朗読に近い作品が多いですが1900年を過ぎると徐々に皆さんが知っているシャンソンに近づいていきます。シャンソンのお好きな方ですと、「白いバラ」などはブリュアンの曲の中でも比較的他の人にカバーされるなど有名ですが、この「娼婦ニニ」も「白いバラ」と同じころ1905年に作詞・作曲されました。

ニニの歌 Nini peau d’chien

作詞・作曲 アリスティッド・ブリュアン 和訳 中村大地

Quand alle était p’tite,
Le soir, alle allait,
À Saint’-Marguerite,
Où qu’a s’dessalait ;
Maint’nant qu’alle est grande,
All’marche, le soir,
Avec ceux d’la bande
Du Richard-Lenoir.
彼女は若いころサン・マルゲリータで夜遊びをし、世慣れした今では、彼女も大人になり夜になると仲間を連れて、リシャールノワーを歩いている
※À la Bastille
        On aime bien
    Nini-Peau-d’chien :
Alle est si bonne et si gentille !
        On aime bien
    Nini-Peau-d’chien
        À la Bastille.※
※バスティーユでは皆がニニを愛している、
彼女はすばらしく、そして親切だ
皆が愛しているバスティーユにいるニニの事を※
Alle a la peau douce,
Aux taches de son,
À l’odeur de rousse
Qui donne un frisson…
Et de sa prunelle,
Aux tons vert-de-gris,
L’amour étincelle
Dans ses yeux d’souris.
彼女のそばかす肌は、柔らかく赤毛の香りが身震いさせる
そして彼女の緑と灰色の瞳には、愛がきらめいている
※À la Bastille
        On aime bien
    Nini-Peau-d’chien :
Alle est si bonne et si gentille !
        On aime bien
    Nini-Peau-d’chien
        À la Bastille.※
※バスティーユでは皆がニニを愛している、
彼女はすばらしく、そして親切だ
皆が愛しているバスティーユにいるニニの事を※
Quand le soleil brille
Dans ses cheveux roux,
L’géni’ d’la Bastille
Lui fait les yeux doux,
Et, quand a s’promène.
Du bout d’l’Arsenal,
Tout l’quartier s’amène
Au coin du canal.
彼女の赤毛の髪に太陽が輝くとバスティーユの守り神も優しく見つめる
そしてアーセナル運河を彼女が歩くとき、この辺の人々は皆、運河の方につられていく
※À la Bastille
        On aime bien
    Nini-Peau-d’chien :
Alle est si bonne et si gentille !
        On aime bien
    Nini-Peau-d’chien
        À la Bastille.※
※バスティーユでは皆がニニを愛している、
彼女はすばらしく、そして親切だ
皆が愛しているバスティーユにいるニニの事を※
Mais celui qu’alle aime,
Qu’alle a dans la peau,
C’est Bibi-la-Crème,
Parc’ qu’il est costeau,
Parc’ que c’est un homme
Qui n’a pas l’foi’ blanc.
Aussi faut voir comme
Nini l’a dans l’sang !
しかし彼女が愛しているのは、彼女が夢中なのは名士のビビだ
なぜなら彼はたくましく恐れ知らずの男だから
見てごらんよ、ニニの彼への熱中ぶりを
※À la Bastille
        On aime bien
    Nini-Peau-d’chien :
Alle est si bonne et si gentille !
        On aime bien
    Nini-Peau-d’chien
        À la Bastille.※
※バスティーユでは皆がニニを愛している、
彼女はすばらしく、そして親切だ
皆が愛しているバスティーユにいるニニの事を※

そしてこの曲は、ブリュアン初期1886年の曲「バスティーユにて」(A La Basstille)の続編となっています、そのためブリュアンが自身のキャバレー「ミルリトン」で発行した機関紙「ル・ミルリトン」1892年89号の表紙「バスティーユにて」と同じ絵を「ニニの歌」でも用いました。

「ル・ミルリトン バスティーユにて」スタンラン 1892年
「ル・ミルリトン バスティーユにて」スタンラン 1892年

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