踊る人形の暗号の挿絵と意味

2022.11.29
踊る人形の暗号の挿絵と意味のOGP画像

概要

シャーロック・ホームズが犯人をおびき出す際に用いた暗号が描かれたページ

踊る人形の暗号 ストランドマガジン1903年12月号
踊る人形の暗号 ストランドマガジン1903年12月号

1903年10月からストランドマガジンで連載されたコナン・ドイルの『シャーロック・ホームズの帰還』、「踊る人形」はその『シャーロック・ホームズの帰還』の3作目にあたり12月に連載されました。

まるで踊っているかのような人形の暗号をホームズが解読し逆にその暗号を使用して犯人をおびき出すこの話はシャーロック・ホームズの作品の中でも人気が高い作品になります。

「踊る人形」は全16ページからなり、シドニー・パジェットの挿絵が7点、踊る人形の暗号が9点、その内ホームズが暗号解読の際に説明として人形の暗号が3点掲載されていて、実際に登場する暗号は下記の6点になります。

踊る人形暗号一覧

踊る人形暗号一覧 リボリアンティークス作成
踊る人形暗号一覧 リボリアンティークス作成

この画像は、1903年のストランド・マガジンから直接スキャンをしてまとめてありますので、おそらく皆さんがご覧になったことのある踊る人形の暗号とは異なっています。

それでは各暗号の意味と和訳を紹介していきます。

最初の暗号

最初の踊る人形の暗号
最初の踊る人形の暗号

まずは依頼者であるヒルトン・キュビットがホームズに最初に見せた暗号になります。

2つめの暗号

2つ目の踊る人形
2つめの踊る人形

2週間後にまた描かれていた暗号

3つめの暗号

3つ目の暗号
3つめの暗号

犯人ではなく依頼者の妻エルシーが描いた暗号

4つめの暗号

4つめの暗号
4つめの暗号

ヒルトン・キュビットがホームズと別れた2日後に描かれた暗号

5つめの暗号

5つめの暗号(ホームズ作)
5つめの暗号(ホームズ作)

ホームズが犯人をおびき出すために描いた暗号

このように暗号の1,2,4は犯人であるエイブ・スレーニーが描き、その返事である3はヒルトン・キュビットの妻エルシーが、そして最後はホームズが暗号を解読し逆に犯人をおびき出すために描いたのが5になります。

踊る人形の暗号は2種類ある?

現在広く知られている「踊る人形」の暗号表と、1903年に『ストランド・マガジン』に初出した図版とでは、いくつかの違いが存在します。

本記事で紹介している暗号図は、1903年12月号のストランド・マガジンに掲載されたオリジナルの挿絵をもとに構成しています。ところが、初出当時のこの暗号図にはいくつかの不整合が指摘されてきました。たとえば、「V」と「R」の間違いなどです。

こうした問題点を補うかたちで、後年の単行本版やホームズ全集、テレビドラマなどでは、整理された新しい暗号表が採用されるようになりました。この修正バージョンでは、A〜Zまでのアルファベットそれぞれに対応する人形が定義され、暗号としての一貫性と使用性が高められています。

そのため、インターネット上でよく見かける暗号表や、映像作品で使用されている暗号は、本記事の図版とはやや異なるかもしれません。しかし、本来の掲載形態に忠実な形でホームズの謎解きを味わいたい方には、ストランド・マガジン初出時の挿絵に基づいたこの原典版もまた、大変興味深い資料といえるでしょう。

ストランド・マガジンと挿絵の出典

「踊る人形(The Adventure of the Dancing Men)」は、アーサー・コナン・ドイルによる短編集『シャーロック・ホームズの帰還(The Return of Sherlock Holmes)』に収録された作品で、初出は1903年12月号のイギリスの雑誌『ストランド・マガジン(The Strand Magazine)』です。

このストーリーには、シドニー・パジェット(Sidney Paget)による挿絵が7点掲載されており、謎解きの要となる“踊る人形”の暗号図も、当時の誌面に計9点掲載されました。中でも、ホームズが暗号を解読する場面には、1文字ごとの記号の対応関係を示す暗号表が図解として掲載されています。

本記事で使用している暗号図版は、1903年当時のストランド・マガジンの誌面からスキャン・再構成したものであり、現在よく知られている図版とは配置や記号の形が一部異なります。そのため、近年のホームズ全集や映像作品などで目にするものと見比べると、違いに気づかれる方もいらっしゃるかもしれません。

100年以上前の雑誌に掲載されたミステリ作品が、現在も愛され続け、こうして暗号解読の対象となっているという事実は、シャーロック・ホームズという存在の奥深さと、19世紀末の印刷文化の豊かさをあらためて感じさせてくれます。

まとめ:この暗号が示すもの

シャーロック・ホームズの物語のなかでも、「踊る人形」は特に印象的な一編です。文字ではなく、まるで踊るような人形の記号を用いたこの暗号は、謎解きとしての魅力だけでなく、言葉を使わずに何かを伝えるという人間の本能的な営みにも通じています。

暗号を読み解くホームズの推理力や、そこに込められた人間ドラマもさることながら、この小さな記号たちが時を超えて多くの読者を惹きつけ続けているということこそが、本作の最大の魅力かもしれません。

原典の挿絵に描かれた記号を一つひとつ見ていくと、当時の印刷文化や、物語世界の緻密な設計にも触れることができます。このシンプルな図形の背後に、物語・記憶・感情が重ねられていることを知るとき、「踊る人形」は単なる推理道具ではなく、時代を超えて語りかけてくる美術的・象徴的な存在として立ち現れるのではないでしょうか。

本記事が、そんな魅力の一端をお伝えできていたら幸いです。

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