版画に対する一般市民の人気、そして版画に芸術的価値を認めた愛好家にこたえるべく、シャンプノワ社は1897年から99年の2年間にわたり、ひと月に4名の画家の新作版画を一つのポートフォリオ(カバー)に収め、作品の一つ一つに解説などをつけた「レスタンプ・モデルヌ」(現代版画)を2000部限定で販売します。
カバーはアルフォンス・ミュシャが手掛け、ミュシャは第2号の「サロメ」購入者特典として「サランボー」を手掛けました。
その他にもジョルジュ・ド・フール、ウジェーヌ・グラッセ、レアンドル、アンリ・ムニエ、エドモンド・アマン・ジャン、オーギュスト・ローデル、テオフィル・スタンラン、H・G・イベルス、アドルフ・ウィレット、ラファエル・コラン、フェリックス・ブラックモン、など当時を代表する画家の作品やロートレックが通ったコルモンの画塾、フェルナン・コルモンの作品やフランスの画家だけでなくエドワード・バーンジューンズの作品などが収録されました。
では、レスタンプ・モデルヌがどのようになっていたかを1898年の6月に発売された14号を例にとって説明します。
カバーを開くとこのようになっており、中には
の4名による各1枚ずつの新作版画が収録されました。
そして年間購読の特典として年2回1897年は6号と12号、1898年18号、24号に新作版画が付きました。
上の写真はレスタンプ・モデルヌ第6号の中に貼られた告知で、この号(第6号)に定期購読特典としてミュシャの作品「まじない≪L’Incantation≫」(サランボーのこと)が付くこと、また定期購読者でなくても5フランで「まじない」が買えることなどが書かれています。
まじない(サランボ―)の解説はこちらもご覧ください。
「まじない」(通称「サランボー」)アルフォンス・ミュシャ 1897年 「まじない」(通称「サランボー) アルフォンス・ミュシャ 1897年 ミュシャの描いたこの作品は、1897年から99年にかけて販売された「レス[…]
レスタンプ・モデルヌのカバーは人気が高く、彩色した絵葉書もシャンプノワ社より同時期に販売されました。また構図をサラ・ベルナールのポスターとしても用いています。