ポスターは芸術になった──トゥールーズ=ロートレックのリトグラフ(石版画)をめぐって

2025.05.21

「このポスター、見たことがある。」 そんな声が聞こえてきそうな、≪ムーラン・ルージュ≫や≪ディヴァン・ジャポネ≫。 けれど、それが“本物の芸術”であり、19世紀末のパリで手刷りされた石版画だと知る人は、案外少ないかもしれません。

リボリアンティークスでは、トゥールーズ=ロートレックのオリジナル・リトグラフ作品を扱っています。 このページでは、彼のポスター作品がなぜ芸術とみなされるのか、そして「本物」を見極めるための基本をご紹介します。


トゥールーズ=ロートレックとは何者か?

ロートレックの写真

ロートレックは、キャバレーやカフェ・コンセールに入り浸るような生活の中で、当時のパリの空気と人々を鋭く描き出した芸術家です。 彼は伝統的なアカデミズムの画壇に背を向け、商業印刷の世界に自ら飛び込みました。

ポスターはそれまで“広告”としか見なされていなかった時代に、彼はそのジャンルを芸術へと昇華させました。 その構図の大胆さ、人物の切り取り方、色彩の省略と強調──どれもが革新的でした。


石版画と“複製”の誤解

ロートレックのポスターは、ほとんどがリトグラフ(石版画)によって制作されました。 「石版画だから複製品でしょ?」と思われるかもしれませんが、それは大きな誤解です。

彼は、印刷所の職人と密に連携しながら、石版の段階で構図を描き、色を分け、刷りを重ねました。 なかには、自らスプレー技法や手彩色を加えた作品もあり、まさに一点一点が「制作されたオリジナル」だったのです。

ロートレックにとって、ポスターは“刷るために描かれた芸術”でした。


本物を見分けるには?

✔ 発行年

1891年の≪ムーラン・ルージュ ラ・グーリュ≫以降、ロートレックのポスターは1901年頃まで発表されました。19世紀末に制作された初版かどうかが重要です。

✔ 印刷所とエンボス

アンクール社やシェクス社などの刻印・エンボスがあるかどうか。これがオリジナルか再版かを見分ける重要な手がかりになります。

✔ 紙質と色

手漉きの厚紙、風合いある色面、インクの濃淡やズレも「手刷り」ならではの味わい。現代の印刷とはまったく異なる質感です。


よくある誤解とその答え

「同じ絵が安く売っていたけれど……?」 → それは復刻版や複製ポスターの可能性が高いです。印刷所名や紙質を確認しましょう。

「美術館にもあったけど、販売していいの?」 → 正規のエディションであれば、美術館と同じ“本物”が市場にも存在します。むしろ、それだけ信頼性のある作品という証です。


リボリアンティークスの取り扱い基準

当店では、19世紀末に制作されたロートレックの正規のリトグラフ作品のみを取り扱っています。 復刻品や現代の複製品は一切取り扱っておりません。

初版の証明、状態の解説、作品背景のご案内など、ご希望に応じて丁寧に対応いたします。


最後に

ロートレックのポスターには、パリの喧騒、踊り子たちの視線、夜の匂いが詰まっています。 一瞬で人の心をつかむ図像──その魅力は、130年経った今でもまったく色褪せません。

あなたの部屋に、小さなベル・エポックを。 その1枚との出会いが、きっと始まりになります。


関連リンク

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